目聡い人は、表題のイトヒキハゼの学名が、Cryptosentrus filifer/Myersina filiferとなっていることに、気づいたと思う。
Cryptosentrusとは、イトヒキハゼ属であることを示し、Myersinaとは、ハゴロモハゼ属であることを示している。
なぜ、2種類の名前があるのかと言えば、最初は、イトヒキハゼ属とされていたのが、数年前に、「こいつはどちらかと言うと、ハゴロモハゼ属なんじゃね?」という論文が出たらしい。
現在は、ハゴロモハゼ属だろうという考えが、主流らしく、フィッシュベースという、世界最大の魚類データベースでは、そちらになっている。
一方、日本のハゼのバイブルというべき、「新版 日本のハゼ」では、まだ、イトヒキハゼ属となっているので、本ブログではそちらに従っている。
分類というのは、あくまでも人間が決めることであるから、学者によって、色々と考え方に違いがあるのである。
さらには、以前はヒメイトヒキハゼという小振りの種類が別にいると思われていたが、形態が殆ど同じであることから、どうもヒメイトヒキハゼは、イトヒキハゼの幼魚らしいということがわかってきた。
ところで、イトヒキハゼなのに、イトヒキハゼ属ではないというのは、おかしいという気がするが、これは、最初に属を代表する魚を、イトヒキハゼにしてしまったせいなので、仕方がないらしい。
属の名前を変えるのは、種の名前を変えるよりも、よほど大変だという事情があると、聞いたことがある。
上の写真は、巣穴を作るエビと、一緒のところを撮ったもの。
イトヒキハゼとエビの写真は珍しく、40枚以上の写真を撮って、エビが写っているのは、これとあと1,2枚しかない。
(続く)