ハゼが好き!

海の宝石とも呼ばれる、美しいハゼたちの魅力を、水中写真で紹介します。

No.029 (通称) ヒレナガダテハゼ (Amblyeleotris neumanni)

撮影日時:2019-04-197D(60)6516色T

撮影場所:セブ島(ボードウォーク前)

撮影器材:Canon EOS7D MarkII + 60マクロ

 

 ヒレナガダテハゼというタイトルになっているが、前に(通称)とあるように、セブのダイビングサービスで呼ばれている、仮の名前である。
 日本からは、今のところ発見されていないこともあり、和名はまだない。
 加えて、英名もつけられておらず、FishBaseでも、学名で呼ばれている。

www.fishbase.se

 ヒレナガダテハゼという名前の通り、第1背鰭の棘が、派手に伸びている。
 ただ、よくよく見返してみれば、ダンダラダテハゼの雌の背鰭とよく似通っており、ダテハゼ属の中で、ピカ一の背鰭という程でもないような気がする。
 模様が赤っぽくて、派手な色をしている分だけ、ダンダラダテハゼよりは人気が出そうだが。

 

 見かけた回数が1度だけなこともあり、全身写真は撮れていない。
 加えて、短めのレンズ(APS-Cで60マクロ=フルサイズ96mm相当)しか持っていなかったので、アップではないのも残念。

 

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No.028 ヒメダテハゼ (Amblyeleotris steinitzi) その2(ハゼに寄生するウミウシ)

撮影日時:2000-08

撮影場所:沖縄本島(砂辺)

撮影器材:Nikon F4 + 100マクロ x 2倍テレコン

 

 上の写真で、ヒメダテハゼの背中についているのは、キヌハダスミゾメウミウシというウミウシである。
 偶然ついたわけではなく、鰭に付着して、鰭条や鰭膜を食べる、寄生者である。
 ヒメダテハゼのみならず、他のダテハゼ属や、シノビハゼ属にも寄生する。

 

 ハゼの巣穴に潜り込み、巣穴の天井から落ちて、背鰭にくっつくという話を聞いたことがあり、ゾッとしたが、今にしてみれば、これは地上における蛭の行動からの類推に過ぎないのではないかと思えてくる。
 というのは、背鰭だけではなく、あらゆる鰭 (尾鰭、胸鰭、臀鰭、腹鰭))に付着するからである。
 加えて、水中では、重力の影響が殆ど感じられないことから、上から落ちるという行為が、さほど意味がないように思えるからだ。

 

 尚、下の観察結果によれば、ウミウシは 、1,2日後にハゼから剥がれたということなので、ずっとそのまま暮らし続けるわけではないようだ。

 確かに、この大きさのウミウシが鰭を食べ続ければ、あっという間に鰭がボロボロになってしまうに違いない。

www.jstage.jst.go.jp

 共生エビによっては、ハゼをクリーニングする能力を持っているらしいので、ウミウシを取ってやれそうなものだ。

 だが、ウミウシはエビの食べ物ではないので、クリーニング対象にならないのかもしれない。


 キヌハダスミゾメウミウシについては、下のサイトも詳しく述べている。

okinawanfish.com

 

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No.028 ヒメダテハゼ】(Amblyeleotris steinitzi)その1

撮影日時:2001-05-03

撮影場所:バリ島トランバン(沈船)

撮影器材:Nikon F4 + 100マクロ x 2倍テレコン

 

 南西諸島から南方のサンゴ礁域では、ダテハゼ属の中では、最もよく見かける種である。
 小石やがれ場などの、比較的水の綺麗な場所に多く棲み、泥地にも棲めないことはないが、数は少ない。

 

 また、南西諸島以南以外に、高知県和歌山県伊豆大島八丈島などからも報告があるようだが、これらの地には、形状や生態がよく似たダテハゼが多い。
 四島やその周辺ではダテハゼ、南西諸島以南ではヒメダテハゼというように、棲み分けているようだ。
 あくまでも私見だが、もしかすると、かつては同種だったのが、種分化したのかもしれない。

 

 基本的には、地面に匍匐した姿勢を取っているが、繁殖期には、ホバリングしながらすべての鰭を広げるディスプレイを見せる。
 一度だけ見たことがあるが、遠過ぎて、人に見せられる写真は撮れなかった。

 

 代わりに、相手を威嚇している写真を載せておく。

 

撮影日時:1998-07-23

撮影場所:石垣島(大崎)

撮影器材:Nikon F4 + 100マクロ x 2倍テレコン

 

(続く)

 

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No.027 ハチマキダテハゼは、頭に鉢巻き

学名:Amblyeleotris diagonalis

撮影日時:2002-09-30

撮影場所:柏島(竜の浜)

撮影器材:Canon EOS-5 + 100マクロ

 

 眼の下に、顔を一周する黒褐色の細い線があるため、他のダテハゼ属との見分けはつきやすい。
 和名は、この細い線を、ハチマキに例えたものだろうと思われる。


 ただ、人間の場合で考えてみれば、ハチマキは眼の上を通っており、線があるのは、ヤクザ映画で見るような、頬の向こう傷に近いかもしれない。

 面白いことに、このハチマキは、完全に顔の後ろを一周しているわけではなくて、頬と頭の境目でわずかに切れている。

 

撮影日時:2018-12-11

撮影場所:アニラオ(ロナルドガーデン)

撮影器材:Canon EOS7D MarkII + 100マクロ

 

 学名のdiagonalisは、対角線という意味。
 こちらは、線が頬を、対角線のように、斜めに横切っているという意味でつけたのではないかと思われる。

 

 ヒメダテハゼなどに比べると、個体数は少ないが、その割に、こちらを威嚇するように、顔を膨らませている個体との遭遇率が高い(下のみならず、上の写真も、その傾向がある)。
 向こうっ気が、強い性格なのかもしれない。

 

 

撮影日時:2002-10-01

撮影場所:柏島(後浜4)

撮影器材:Canon EOS-5 + 100マクロ

 

 基本的には、南方のサンゴ礁域に棲息するハゼだが、伊豆半島での目撃情報も多い。
 川奈でも、幼魚のみならず、結構大きくなった個体を見ている。

 

撮影日時:2001-09-24

撮影場所:川奈(ビーチ)

撮影器材:Nikon F4 + 100マクロ x 2倍 x 1.4倍テレコン

 

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No.026 ニュウドウダテハゼは、ともかく大きい。

学名:Amblyeleotris fontanesii

撮影日時:2018-05-16

撮影場所:セブ(RSN)

撮影器材:Canon EOS7D MarkII + 100マクロ

 

 和名のニュウドウというのは、通常は僧侶のことだが、この場合は、大入道から来たものと考えられ、体が大きいことを表わしている。

 その名の通り、ダテハゼ属の中でも、一番大きなハゼである。
 図鑑には、最大体長20cmほどとあるが、実際に海の中で出会うと、遥かに大きい印象で、30cmくらいあるように思える。

 地面から、太い棍棒が、ヌウッと突き出ているようなイメージだ。

 

 砂地に棲むことの多いダテハゼ属にしては珍しく、手をつくと肘まで沈み込むような、ドロドロの泥地に棲んでいる。

 背鰭に大きな黒色班があるのが特徴で、下の写真のように、幼魚の頃は、もっと黒色班が濃く目立っている。

 幼魚と成魚の大きさがあまりに違うこともあって、この写真を撮ったときには、しばらく正体がわからなかったのを覚えている。

 

 共生しているエビは、大半が、ニュウドウテッポウエビという、赤茶色のエビらしい(『サンゴ礁のエビハンドブック』参照)。

 

 

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No.025 ニチリンダテハゼ(美智子上皇后が名前をつけたというのは、デマ)

学名: Amblyeleotris randalli

撮影日時:2019-12-09

撮影場所:マクタン島(ヘラクレオ)

撮影器材:Canon EOS7D MarkII + 100mmマクロ


 ドロップオフの途中にある窪みの、砂や小石が溜まったところに、大抵は1匹で、エビと共棲している。
 ニチリン(日輪)という名の通り、派手な背鰭が有名で、非常に人気のあるハゼだが、個人的には、なぜかあまり縁がなかった。
 マクタン島(セブの隣)のポイントで、やっと全身が出ているものを、撮影することができた。

 

 ところで、このニチリンダテハゼという和名は、美智子上皇后の提案により、明仁上皇命名したという話が、ネットで広まっている。

 だが、これは、「真っ赤な嘘」なのだ。

 

 下の、「生命の星・地球博物館」の発表にあるように、論文の著者の1人が発案し、命名したものなのである。


>「本種の標準和名は、1986年にこのハゼを日本新産種として報告した吉野哲夫・瀬能 宏・矢野維幾による共著論文中で命名されました。」
>接頭辞の「ニチリン」は、第1背鰭の斑紋が「日輪」を想起させることに由来します。

nh.kanagawa-museum.jp

 

 なぜ、このようなデマが広がったのかは、よくわからない。

 ただ、美智子上皇后が和名を提案したのは、このニチリンダテハゼに加え、アケボノハゼとギンガハゼもそうだと伝えられている。

 そして、アケボノハゼの和名が、美智子上皇后の提案により、明仁上皇命名したというのは、真実らしい。

 確認したわけではないが、侍従の書いた本に出ているということだ。

 

 その話が、伝言ゲームのように、どこかで伝わり、ニチリンダテハゼも、対象に含まれたのだろう。

 尚、ギンガハゼの命名者については、真偽が不明である。

 

 

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No.024 ダンダラダテハゼ (Amblyeleotris periophthalma) その2

撮影日時:2020-03-057D

撮影場所:バリ島・ムンジャンガン(タンジュン・バル)

撮影器材:Canon EOS7D MarkII  + 60マクロ x 1.4倍テレコン

 

 『新版 日本のハゼ』によれば、上の写真は、雄。
 背鰭から棘が突出しておらず、どの棘も同じような高さになっている。

 

 さて、和名のダンダラとは何かと、ネットで調べてみたが、出てくるのは、新選組の段だら羽織が大半だった。
 山形を並べた模様を、段だらと呼ぶそうだ。

ja.wikipedia.org


 テントウムシの仲間に、ダンダラテントウというのがいて、この名前は恐らく、ここから取ったのだろう。

www.nature-engineer.com

 一方、下のサイトによれば、段だら模様とは別に、段だら縞というのがあって、地色と筋が同じ太さの横縞を指すらしい。

www.natubunko.net

 ダンダラダテハゼの和名は、段だら縞から取ったのかもしれないし、或いは、段だら模様のように、横帯の縁がギザギザになっているところから、取ったのかもしれない。
 残念ながら、確認することはできなかった。

 

 

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